
関西を中心にカステラの製造・販売を行う株式会社銀装は、昭和27年に心斎橋で創業。元々は常務取締役の赤木氏の祖父がカステラ作りを学んだことをきっかけに、戦後の貧しい時代に「おいしいものをたくさん食べたい」という幼い頃からの夢を実現させた。当時、カステラは贈答品やお見舞いの品として使われる高級品だった。しかし、同社が「紙の缶詰」と呼んだアルミで包み熱殺菌を行う保存方法で、2〜3日だった賞味期限が2〜3週間へと長期保存が可能となり、コストダウンに成功。さらには、スライスカットされたカステラのパック販売が、持ち運びが便利ということでレジャー用に持って行かれるようになるなど、同社の技術・アイデアで一気にカステラが市民権を得ることができた。

一般的にカステラと言えば、長崎の甘くてどっしりしたものを想像するが、同社のカステラは甘さ控えめなあっさりとした味で、食感はケーキのようにふんわりとしている。「飲み物がなくてもいくつでも食べられるようにと、ダシの文化で薄味を好む関西の方に受け入れやすい、あっさりとしたカステラにしています。」と赤木氏は語る。その味は、創業当時から支持しているお客様も多く、今でも変わらぬ味を提供し続けている。また、カステラ以外にプリンや焼き菓子なども取り扱っているため、昔からのお客様が贈り物として購入する際に、どんなものを送ったらいいか聞かれることも多いそうだ。「中には完全にお任せのお客様もいらっしゃいますが、うちで買って良かったと思われるよう送り先に合わせた適切なアドバイスを心がけています」。
また約10年前からは若い人へアプローチする新しい試みとして、春には桜かすてら、秋には栗かすてら、バレンタインにはチョコレートカステラなど季節やイベントを取り込んだカステラの販売もスタートさせ、好評を得ている。

今年、同社の商品「カステ21」が大阪産(もん)名品に認定された。「地元の方々に支持されてここまで成長してきましたで、これからは恩返しをする時期にきたのかなと思います。カステラは洋菓子のなかでもクローズアップされにくい商品ですが、カステラの良さ・文化を継承していきたいですね。」と同氏は話す。その一環として、昔ながらの製法で作る窯出しカステラを復活させ、創業当時の文化や技術を残そうとしている。「今後も、カステラを手土産や贈り物として生活の喜びに貢献し、関西をカステラで元気にしていきたいですね」。長年愛され、親しまれる同社の想いが詰まった言葉だった。
■ 会社概要
【会社名】 | 株式会社銀装 |
【設立】 | 1952年8月 |
【所在地】 | 〒542-0085 大阪府大阪市中央区心斎橋筋1丁目4番24号 |
【連絡先】 | 06-6245-0021 |
■ 詳しい情報はホームページにてご覧いただけます。